H29.9 孤独死について

 高齢化社会が急速に進展したことで、これまでには考えられないような事件や事故が起きています。最近頻繁に報道されるのが高齢者が運転する車の暴走や高速道路での逆走による事故です。また、相変わらず減らない高齢者をターゲットにしたオレオレ詐欺や高齢者による万引きも問題となっています。
 特に気になっているのが孤独死の問題です。孤独死とは「誰にも看取られることなく息を引き取ること」と定義されています。亡くなられてから数日後に発見されたというケースが年々増加傾向にあります。宮城県内では、2016年に903人を数え、過去10年間で最多となり、うち約7割は男性でした。これまでは大都市で起こる特異なケースと思っていましたが、柴田町においても、孤独死と思われるケースが散見されるようになり、報告を受けるたびに心を痛めています。
 その背景の一つとして挙げられているのが、結婚しない単身世帯や一人暮らしの高齢者の増加です。特に、一人暮らしの単身男性は、定年を迎えると同時に、これまでの会社を中心とした人間関係が希薄化するため、女性に比べて孤立するリスクが高くなりがちです。また、地域においては、お隣同士の御近所づきあいが少なくなり、「お互い様」とか「助け合い」とかいった地域の包容力が低下してきたことも、孤独死の増加に拍車をかける大きな要因となっています。
 孤独死を防ぐためには、なんといっても誰もが社会から孤立しないようにすることが大事です。
 東京都江戸川区のなぎさニュータウンでは、住民同士が「助け合いの会」をつくって、有償での身体介護や生活介助や付き添い等を行い、孤立しない地域づくりに取り組んでいます。役所は役所で、安否確認や居場所づくりを通じて、孤立による孤独死を発生させないようにしています。しかし、一番肝心なのは、やはり本人自らが日頃から、家族はもとより、地域において多くの縁をつむぐ努力をしておくことが大事ではないかと思います。町には老人クラブの活動やスポーツ、文化、ボランティア活動等、つながりをつくる場が数多くあります。また、9月には、各地で敬老会も開かれます。まずは、こうした活動や行事に参加し、自ら地域社会から孤立しないよう心がけていただければと思っています。
                                            平成29年9月  柴田町長 滝口 茂

H29.8 ランドスケープデザイン

 皆さん、旅行に出かけた際には、どんなところに興味を持たれますか。自然の美しさ、名所、旧跡、郷土料理、伝統工芸品など人それぞれだろうと思います。私の関心事はなんといっても、街並みだったり、街路樹や公園の佇まいです。街路にはどんな樹木が植えられているのか、グランドカバーにどんな草花が植栽されているのか興味津々です。

 多くの市民の憩いの場、そして観光スポットとなる緑の空間の形成は、これからの都市の発展には絶対に欠かせない装備だと思います。

 緑豊かな街路や公園を計画的に配置し、街全体の景観美を創造していくことを、「ランドスケープデザイン」と言うそうです。東京や仙台といった都市では、こうした計画に基づきオープンスペースが確保されており、美しい街路樹の下で、のんびりとコーヒーを飲んでいる市民の姿を見るたびに、うらやましく思ってしまいます。

 柴田町自慢のランドスケープと言えるのが船岡城址公園や、白石川堤の佇まいです。「樅ノ木は残った展望デッキ」から眺める残雪を抱く蔵王連峰と白石川堤一目千本桜が織りなすランドスケープは、国内はもとより、タイ、台湾、香港等、外国のお客様までも魅了するほどになりました。ランドスケープデザインによる美しい都市空間の整備は益々重要になってくると思います。

 しかし、一方で、解決すべき問題も生じています。

 公園の木々の落葉の処理、桜並木の老木化や腐食による倒木の危険性、病害虫対策、剪定や草刈等の育成管理上の問題です。

 こうした頭を悩ます問題の解決策として求められているのが、行政や造園業者だけによる従来の育成管理でなく、住民との協働による新たな育成管理の仕組み作りです。

 幸い柴田町では、柴田町さくらの会の皆さんのような住民団体が育成管理に協力していただいております。また、船岡城址公園やしばた千桜公園、桜の小径への花木の植栽については、日本さくらの会や三菱UFJ環境財団等、民間団体からの寄付を受けて行っております。このように、私たちの町には、住民や民間団体との協働によるまちづくりの素地があります。皆で緑の空間を守っていきたいと思います。

 今後は、ランドスケープデザインに基づいた、景観形成方針を立て、四季の変化を五感で楽しめる、歩いて楽しい街並みや心をいやす緑の空間づくりを進めて参ります。

                                            平成29年8月  柴田町長 滝口 茂

H29.7 放課後英語楽校

 夏休みに入ると、国際空港ターミナルは海外で過ごそうという方で溢れ、出国ラッシュが続くことでしょう。

 海外でのバカンスには、本当に心ときめくものがあるのですが、一方で、言葉が通じない不安もあります。私も何度か海外に出かけましたが、毎回出入国審査の際には緊張しますし、乗り物の乗り方やトイレの場所を探すのにとまどってばかりいます。

 また、旅行自体も現地の添乗員さんの後を付いて名所や旧跡、レストランを巡るだけになってしまい、自分一人で現地の人と会話をしたり、買い物をしたりといった体験をあまりしない分、旅の想い出が薄くなっているのが実情です。そのたびに、中学校や高校で、世界の共通語である英語をしっかり勉強しておけば良かったと悔やんでいます。

 私が最初に英語に出会ったのは、昭和39年でした。その頃の英語の勉強は、読解や文法に重きが置かれた受験勉強のための英語だったように思います。

 当時は、飛行機に乗って海外に行くことなどは夢のまた夢でしたので、英会話の必要性はあまり重視されていなかったのかもしれません。「英語の先生に、英会話を通じて外国人と会話する楽しさを教えていただいていたら、もっと英語が好きになっていたのになぁ」と残念に思っています。

 しかし、今はグローバル化の時代です。地方自治体においても、国際交流やインバウンド政策が、行政の守備範囲に入ってきた時代です。子どもたちには、英語を自由に操り、世界で活躍できる人材に育ってほしいと願っています。

 町では、教育長の発案で「SAKURA PROJECT」を現在進めています。子どもたちに英語を通じて、町の誇りである桜の魅力を外国人に伝えてもらおうとする試みです。

 現在、各学校では放課後の40分間、英語で聞くこと、英語で話すことを中心とした「放課後英語楽校」を開いています。そこでは、英語で外国人と話してみたいという子どもたちが文字通り、目を輝かせて楽しく英語で交流活動を行っています。

 来年の桜まつりには、「放課後英語楽校」で学んだ子どもたちが、大人の通訳ボランティアの皆さんと一緒に、外国人の方々を笑顔でおもてなししている姿が見られるものと期待しているところです。

                                           平成29年7月  柴田町長 滝口 茂 

H29.6 6月議会に臨んで

 いよいよ新しい議員さん方を迎えての柴田町議会6月会議が開かれます。今回の選挙においては、3人の新人議員の皆さまが当選し、ま、た定数18人に対し、6人が女性議員で、しかも、今回県内の町村議会において、初めて女性の議長が誕生しました。そういった意味では、全国に誇れる画期的な議会となりました。

 一方、今回の選挙では、「観光より優先すべき事業がある」という主張、安全で安心な暮らしの確保、子どもたちの教育や子育て支援、デマンドタクシーの運行のあり方などが争点となりましたが、残念ながら町民の関心は高まらず、投票率が50.62%になってしまいました。

 これまでの町議会議員選挙や町長選挙よりも低い結果となってしまいました。日頃の町政や議会活動への関心の低さが、こうした数値に表れたものと真摯に受け止め、反省しなければならないと思っております。

 私たち地方政治家の使命は、地域住民の多様な声ある声、声なき声を拾い集めて、議場において議論を重ね、政策や予算に反映させ実現していくことにあります。私たち執行部も議会も町民の暮らしを少しでも良くしたい、柴田町をさらに発展させていきたいという政治目標は同じだと思います。

しかし、執行部は常に財源に制約されるため、議会との間で政策の手法や事業の優先順位に違いが出るのは、当然のことだと思っています。

 だからこそ、本会議や委員会等において議論を戦わせ、調整を図りながら、一致点を見い出していくことになります。結論が出た以上、たとえ議決とは反対の意思を表明した議員でも、一緒にまちづくりに汗を流すのが地方政治のあるべき姿なのです。しかし、これまで若干その点がおろそかにされたきらいがありました。政治家として住民から信頼されるためには、地元にしっかりと根をおろし、日頃から地域のため、柴田町のために率先して汗をかくことだと思います。選挙の時だけ声高に柴田町のまちづくりを叫んでも、町民の関心を呼び起こすことはできません。まずは、6月会議において、丁々発止の議論をしていくことから、町政の見える化を図って参ります。

                                           平成29年6月  柴田町長 滝口 茂 

H29.5 台湾訪問雑感

 台湾に行ってきました。目的は二つです。

 一つは、東日本大震災からの復興に際し、台湾の皆さんからの支援に対する御礼と、平成28年2月6日に発生した地震により被害を受けた台南地域へのお見舞いのためです。

 二つには、台湾からの観光客を宮城県に呼び込むためのプロモーション活動を行うためです。

 午前7時30分に仙台空港からフライトし、福岡空港で乗り換えて台湾の桃園空港に着いたのが午後2時(日本との時差1時間)です。

 何度か外国を訪れていますが、空港に着陸した際に窓から見える日本とは異なる景色に、また外国に来たのだなぁとつい感激してしまいます。しかし、今回初めて目にした台湾の景色は、あまり日本とは変わりなく見えました。

 台湾の新幹線に乗って、一路台南市へ。新幹線からは、散居した集落や水田が切り目なく続き、密度は違いますが、東京から大阪までのベルト地帯と同じような風景が続いていました。私は西側に座っていたので、限りなく開けた平野部しか見ることができなかったのですが、台湾には富士山より高い山があるそうです。日本が台湾を統治していた際、日本で一番高かった山が新高山だったそうです。真珠湾攻撃の際に使われた暗号「新高山登れ1208」はここからきていることを初めて知りました。

 昔、台湾には多くの日本人が住んでおり、今回一緒に参加した、ある首長さんの叔父さんも台南で警察官をしていたそうです。

 多くの方々が親日で、その日の夜には台南市台日友好交流協会の皆さんとの夕食会がありました。そこで印象に残ったのは、「今の80代、90代のお年寄りは日本語が話せるので日本に好意を持っているが、私たち50代は日本と交流する機会がそう多くないため、日本のことをあまり知らない。これからは、小さな子どもの頃からの交流が大切です。皆さんはインバウンドのためにいらっしゃったのでしょうけど、アウトバウンドも一緒にしないと交流は長続きしません」という歓迎挨拶でした。

 私はあまりにも台湾のことを知らなさすぎたことを恥じる旅となりました。

                                            平成29年5月  柴田町長 滝口 茂